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鍛冶舎巧監督 高校野球で公立校が勝っていく唯一の方法

「秀岳館では”大阪第二代表”と揶揄(やゆ)されることもありましたが、甲子園で勝つことで、最後は地元の方から支持を得ました。

ただ、今回は秀岳館とは違い、県内の選手だけで目指す甲子園。

もちろん時間がかかることは百も承知ですが、母校からお声をいただいたわけですから、断るという選択肢はありませんでした」


「みなさん心配してくださるのですが、雨天練習場やトレーニング場は、むしろ秀岳館より広いですし、他の部活動と共用しているとはいえ、グラウンドも秀岳館と同じ広さを確保できる。

公立校としては恵まれた環境だと思います。」


「秀岳館でやってきた練習メニューを変えるつもりはありません。

ただ、練習時間は確実に半減するので、さらなる管理徹底とスピードアップが必要になります。

選手が思い通りに動いてくれない、もっと指導したいからといって練習をストップさせることはナンセンスです。

選手を立ち止まらせないこと。

ただでさえ時間が少ないわけですから……。

いま時間割をつくっている最中ですが、メドは立ちました。

欲を言えば、もう30分、時間が欲しいところですが(笑)」

 

「伝統ある公立校ほど、上からの指示が多いと感じています。

指導者サイドからすると、どうしても”教える”というスタイルを取りたがるものなんです。

つまり、子ども側からすると”パッシブ・ラーニング(受動的学習)”になってしまう。

でも私は”アクティブ・ラーニング(積極的学習)”というスタイルで、ひとりひとりの個性と向き合ってきました。

”教える”から”引き出す”という指導に変化するわけですから、おそらくコーチ陣との衝突が起こるでしょう。

しかし、衝突なくして変革なし。

これが改革へのエネルギーになっていくのです」

すでに現場に対しては「教えない勇気を持て」と言っている。

 

指導者の”教えたがり体質”を改善することで、選手たちに学習意欲を掻きたて、さらには練習の効率化も図っていく。

また、秀岳館時代に年4回実施していた専門の業者による身体能力測定をさっそく実施させ、選手個人の目先の数値目標を明確にした。

鍛冶舎自身にとっても、各選手の能力値を把握できた成果は大きい。


「30m走の最速は4秒32でしたが、これは秀岳館では最下位クラス

飛距離をポイントに換算して行なうロングティーも、チームトップの子が秀岳館の最下位と同等の数値でした。

今まで見てきた数値とあまりにかけ離れていますが、それはそのまま伸びしろの大きさですから、あまり悲観していません。

秀岳館のときは目標体重をそれぞれに設定していたのですが、今回の測定結果でその必要性も痛感してくれたはずです。」

 

「以前から選手たちに求めてきた”自主・自立・自治”。

これは私の野球の幹にあたるものなのですが、彼らの視線を受け、意外に早く浸透できるのではないかと思いました。

自ら考え、自ら行動に移す。

8時間の練習を4時間に詰め込もうとしているわけですから、これができなければとても勝利どころではない。

繰り返しますが、徹底した時間管理と時間を削る工夫、そして教える指導から引き出す指導へ。

そうして生産性を高めていくことが、これからの高校野球で公立校が勝っていく唯一の方法だと思います」