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大阪桐蔭の強さ。西谷監督の試合をひっくり返す「言葉学」

 

初回表に6点先制した、ある試合。

先発投手に「5点まではOK」と送り出した。

が、ワンアウトを取っただけでまさかの5失点KO。

ベンチに戻ってきた投手に西谷監督は「誰がいっぺんに取られてええなんて言うたんや!」

ただその口調は、怒鳴ったり、突き放したりするのではない。

関西風に意訳するなら「なにしとんねん。しっかりせんかい!」といった調子。

そして選手たちにはこう言った。

「オレらの日頃の行ないが悪いんかなぁ。しゃあない、0対0からもう1回や!」

どんな状況下でも悲壮感は漂わせない。

いい意味での明るさと緩さで、選手たちの力を引き出させる。

このあたりは目立たないが、西谷監督の選手操縦法における大きな特長だ。

しかし、2回にあっさり逆転を許してしまう。

相手エースは初回とは見違えるようなボールを投げ始め、2回から5回までヒットはわずか1本と、完全に流れは相手に傾いていた。

ただ、西谷監督には確信があった。

気迫を前面に出して投げる相手エースの姿に「これだと9回まで持たない」

そこで選手たちに得意のたとえ話を交えながら、こう言ったという。

「絶対に落ちてくる。だから今はボディやぞ、ボディ。

アッパーはいらんから、ひたすらボディや」

「今は引っ張られへんからしゃがめ。

耐えて、耐えて……そうすれば相手もバテてくる。

バテてきたら一気に引っ張るからな。

それまではベンチのみんなもしゃがんどいてくれ。

「流れが来るように、ボール回しでも走塁でも、普段やっていることをきっちりやってくれ。
下を向かずにやることやっていたら、必ず自分たちのペースになってくるから」

「まわしを取ったら絶対に離すな。それで最後にうっちゃるんや。」

 

中盤になり、ある選手が「(相手投手の球威が)落ちてきました。」と言った。

これには「打ってから言わんかい!」と返したそうだが、8回、ついにそのときが来た。

ヒット2本と相手のミスも絡み同点に追いつく。

「一気に行くぞ!」と代打のタイムリーで逆転。

9回にも追加点を挙げ、結局、11対8で乱戦を制した。