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野村謙二郎氏が語る、セカンド・菊池涼介の誕生秘話

菊池涼介は大学時代、ショートを守っていました。

アマチュア時代にショートを守っていた選手がセカンドにコンバートされるケースの理由の1つに、チーム事情があります。

菊池のケースで言えば、ショートを守らせることも可能でしたし、その能力も十分

とはいえ、ルーキーが、いきなりレギュラーにとって代わることは、簡単ではありません。

入団時の一軍ショートには、梵英心という絶対的な存在がいました。

当時は30歳を過ぎた脂の乗り切ったころで、長くそのポジションを守ってきたベテランをコンバートすることは考えづらい。

そこでショートに固定せずに、セカンドもサードも守らせ、内野ならどこでも守れるオールラウンダーという位置付けでスタートしました。

考えたくはないですが、どこかにケガなどで空きが出た場合、そこに入れるほうが現実的だったわけです。

入団当初から今のような洗練された動きがあったわけではありません。

沖縄での春季キャンプでノックを受けている菊池を見ると、余分な動きがあったり、捕球の際にグラブを上から出すなどの良くないクセも散見されました。

大学を出たてのルーキーですから、それも仕方がない。

しかし、菊池はその問題点を指摘すると、すぐに修正することができてしまうのです。

これはプロでもなかなかできないことです。

そうこうしているうちに、セカンドのレギュラーだった東出輝裕が6月に打球を右手中指に当てて骨折するアクシデントが起こってしまいます。

そこで菊池をセカンドで起用したのがそもそものキッカケでした。

そこまでセカンドの練習もさせていましたが、慣れ親しんだショートとは逆の動きになるのに、違和感なくプレーできるようになっていました。

例えばビジターで三塁側のベンチから試合を見ていると、菊池が正面に見えるのですが、センター前に抜けたと思うような当たりを、フットワークを生かして追いつき、簡単にアウトにしてしまう。

反転してのスローイングが必要なのに、です。

この守備力を生かすためには、セカンドを極めさせたほうがいいとの判断で、起用を続けました。

菊池のプレーの特徴は、まず1つに守備範囲の広さで、これはいまさら説明するまでもないと思います。

誰もが抜けたと思うような当たりに、しっかりと足を使って追いつくことはもちろん、打球を予測する能力にも長けています。

そしてセカンド起用する上で、もっとも重要だったのが肩の強さでした。

ここではセカンドに求められる条件を考えなければいけません。

ファーストまで近い位置に守るため、以前はあまり肩が強くなくてもいいという考えのあった時代から、最近はセカンドの肩の強さがゲームの流れを大きく変えると考えられる時代に変わってきました。

分かりやすいのがダブルプレーのときのスローイング力でしょう。

漠然と見てしまう一連の流れですが、「バッターランナーはセーフになりそう」というタイミングでも、菊池は強い送球をすることによって、これをアウトにすることができます。

これは肩の強さ、リストの強さはもちろん、捕球から送球までの持ち替えの上手さも併せ持っていたからです。

セカンドで起用していく中で、「いつかはショートに」というプランもありましたが、彼がセカンドにいることでダブルプレーがたくさん取れる、結果的に、チームに多くの利益をもたらすという考えから、セカンド起用を続けようという判断を下しました。

それがどれだけチームを救うのかは、昨シーズンのカープ優勝を見れば明らかでしょう。

私が彼にアドバイスをしたことはそう多くはありません。

セカンドを守っていても「肩が武器なのだから、衰えないように、イージーなゴロでも極力上からしっかりと投げるようにしなさい。そうすることで肩が衰えないようにしなさい。」ということくらいでしょう。

その後のレベルアップは菊池本人の努力の賜物です。

もともと体のバランスがいいので、体勢が悪くても送球に安定感がある。

我々の想像を超える勢いで成長し、今や日本を代表するNo.1のセカンドだと言えますね。